OUT LINE

浜松町二丁目C地区再開発プロジェクトはJR浜松町駅に直結する
ラグジュアリータワーレジデンスの建設を中心とした再開発プロジェクト。
陸・海・空の交通結節点である浜松町駅が「東京の玄関口」として機能するよう、レジデンス、事務所、店舗、文化芸術ホールなど多様な都市機能を導入し、魅力ある複合市街地を形成。歩行者デッキと地上それぞれに配置されたオープンスペースはにぎわいを生み出し、駅前エリアと周辺エリアをつなぐ役割も果たしている。
C地区は主に高層棟・中層棟の2棟で構成され、全体としての完成は中層棟(文化芸術ホール)が竣工する2027年5月だが、先駆けて2024年11月に高層棟(レジデンス、事務所、店舗)が竣工した。
OUT LINE
FLOWフロー
地権者との合意形成

地域の方と勉強会を実施し
再開発組合を形成
計画(設計)

まちの課題を設計で
解決する
レジデンス販売

唯一無二のラグジュアリー
タワーレジデンス
リーシング

まちの未来をまち視点で
デザインする
運営

浜松町の次の未来へ
PROJECT MEMBER

宗平 大和
YAMATO MUNEHIRA
ビル運営事業部2005年新卒入社
不動産事業部を経て開発企画部に配属。2011年〜2024年の13年間本プロジェクトを担当。

吉田 孝輔
KOSUKE YOSHIDA
開発企画部2017年新卒入社
ビル営業部、ビル運営事業部、まちづくり推進部を経て開発企画部に配属。本プロジェクトの完成に向けた業務推進、店舗リーシングを担当。

小川 達也
TATSUYA OGAWA
開発企画部・建設技術部2024年中途入社
新卒で不動産鑑定士事務所に入所したのち、当社に転職し、開発企画部・建設技術部へ配属。主に再開発組合の事務局運営、マンション事業の事業者間調整を担当。

浜松町二丁目C地区再開発
プロジェクトの
はじまり

- 宗平
「C地区」と呼ばれるこのエリアは、JR浜松町駅から約100m西に位置する約0.7haの地区です。駅前ではありますが、もともと細分化された敷地が多く存在しており、個別の建替えでは駅前の拠点にふさわしいオープンスペースの確保や交通結節機能の強化などの都市機能の更新が難しく、良好な都市環境の形成や防災性の高い市街地形成が難しいという行政上の課題がありました。一方で、当社も1970年代に竣工した世界貿易センタービルの建て替え、すなわち「A街区」と呼ばれる浜松町駅前エリアの再開発を計画しており、C地区を含めて再開発を進めることでエリア全体の価値向上が見込めるということで、両街区の発展的な相乗効果を創出するためC地区の再開発も当社が推進することになりました。
- 小川
浜松町は当社の創業の地です。この街に住む方や訪れる方、様々な方に浜松町が魅力的に映るよう発展させていきたいと思っていますし、駅前エリアで再開発をする当社にはその責務があると思っています。C地区には地元の地権者の皆さまがたくさんいらっしゃるエリアであり、当然皆さまを巻き込んで再開発をする必要があったため、当社の視点だけでなく地権者の皆さまの未来を考えながら計画を進めていきました。
地権者との合意形成
地権者と向き合い、
想いを一つにしていく
- 吉田
C地区では、「市街地再開発事業」というスキームを用いています。これは、低層の建築物が密集しているなど災害の危険性がある地区において、細分化した土地を集約してビルとして建築し直すと同時に、道路や公園などの公共施設を整備する事業です。公共性が強く、地域住民の皆さまへの貢献度も高いものになりますので、行政から補助金が交付されます。こういったものを上手く活用するために行政から一つ一つ認可をもらいつつ、地権者の皆さまのご意見を取りこぼさず進めていく必要があったので、ビルの外壁や植栽など街の景観や雰囲気になじむようデザインしたり、道路の舗装整備に取り組んだりと、各所で公共性・地域貢献性の高い開発を意識して進めていきました。
- 宗平
これらの計画を基に、まずは、地権者の皆さまに「一緒に再開発してみませんか」と、地道にお声がけすることからスタートしました。最初は「よく分からない。不安だ。」という声が多かったため、「一緒に勉強しましょう」と勉強会を開催し、不安の解消に努めました。「再開発とは何か?」「事業費はどう捻出していくか?」「浜松町がどう魅力的になるか?」など、一年ほどかけて地権者の皆さまとビジョンを共有していく中で、段々と再開発への納得感や期待感が醸成されていくのを感じました。一方で、バックグラウンドやまちづくりに対する要望が地権者によって異なるため、皆が幸せな状態を目指しつつ、意見を取りまとめていくことはとても大変でした。また、地権者の皆さまの大事な敷地を長期間にわたりお預かりするわけですから、我々に任せていただけるよう信頼を得ることが何よりも重要です。信頼関係に近道はなく、時間をかけて対話を重ねる中で徐々に関係性を築き、何とか合意形成まで辿り着くことができました。

計画(設計)
社会的課題に設計で
答えを出す
- 宗平
C地区で再開発の勉強会が始まった2011年、隣接するA・B街区では都市再生特別地区の都市計画決定を経て、駅前にふさわしい都市機能更新の計画が平行して進んでおりました。そのためC地区では、A・B街区と連携し機能補完を図りながら、「都市にうるおいとにぎわいをもたらす多様な機能の導入と駅と周辺市街地をつなぐ結節点となる安全で快適なまちづくり」を目指した設計がされています。また、C地区では再開発に係る地区計画に併せて高度利用地区の認可を受けており、まちに開かれた広場空間が多く点在しております。
- 小川
具体的なアウトプットとしては、例えば1階部分の公開空地や歩道状空地、すなわち広場空間の創出が挙げられます。災害時の地域活動の場として機能するほか、駅と街区開発と周辺市街地をつなぐ結節点となっており、当地区が抱えていた課題を解決する空間として設計しております。今後は地域課題をハードで解決することに加え、よりこの広場空間を活用して地域課題をソフト的に解決していけるよう、オープンテラスの配置やイベント開催、A・B街区と連携した取り組みなど、ワーカー、地域住民、観光客などのステークホルダーの憩いの場となり、街のにぎわい創出に寄与するような取り組みを行っていきたいと考えております。

レジデンス販売
唯一無二のラグジュアリー
タワーレジデンス
「WORLD TOWER RESIDENCE」
- 宗平
高層棟の13~46階には「WORLD TOWER RESIDENCE」というレジデンスが整備されており、当地区のユニークポイントの一つとなっています。山手線駅直結かつ駅前複合再開発による多機能空間の中で日常生活を過ごすことができる、国内でも唯一無二の物件と言っていいのではないでしょうか。鹿島建設、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、東京建物と名だたるディベロッパーが参画し、各社の英知を結集したレジデンスとなっております。こだわりの特徴としては、レジデンス部分に著名な海外デザイナーにジョインいただいている点です。浜松町は羽田空港からの玄関口でもあり陸・海・空の結節点ですので、販売上のペルソナも国内外を問わず対象にしており、また隣接するA街区開発も国際性をコンセプトにしておりますので、海外視点での「和デザイン」を取り入れる方向で、世界的に実績のあるデザイナーの方にお願いしました。
- 小川
その結果は想像を超えた出来上がりで、販売戦略上でも大きいアピールポイントになりました。私は中途入社後すぐに本プロジェクトにアサインされ、背筋が伸びる思いで販売業務に従事していたのですが、384戸あった販売用レジデンスがすべて完売し驚いたのを覚えています。当時の販売市場価格を牽引するリード物件を担当できたことはとてもやりがいを感じられるものでした。一方で、期待の寄せられる大型物件であるが故に、特に物件引渡し直前期は大変でした。残り一ヶ月というところで詰めていく工事があったり、引渡しまでに締結する必要がある契約が突発的に出てきたりと、バタバタしていたのを覚えています。華やかではありつつも事業的な側面では金額が大きい分、経理処理の重要さやアフターサービス対応など、現在も業務は続いており背筋も伸び続けています(笑)

リーシング
街の声を活かした
リーシング。
そして高層棟の完成へ。
- 吉田
高層棟の7~12階に整備されたオフィスフロアは「WTC annex」と名付けられました。今回採用した「第一種市街地再開発事業」では、地権者の皆さまが所有していた建物の従前床面積と新しい建物で所有する従後床面積が「等価交換」されます。つまり、「WTC annex」の床を地権者の皆さまが新しく取得されるわけですが、こちらの床に対してしっかりと賃料収入が確保できるように、部署を横断して全社一丸となってリーシング活動に取り組みました。
また、高層棟1~3階には店舗区画があります。当時、まちづくり推進部という地元連携を担当する部署を兼務していた関係で、「駅周辺に日常の買い物ができる場があまり無い」という街の声をよくお聞きしておりました。加えて、レジデンスに入居される皆さまの住居環境の整備という点でも、スーパーマーケットのリーシングが喫緊の課題でした。この区画が街や建物にどういう影響を持つ区画で、入居されるブランド様が浜松町全体や当地区にどういう影響を及ぼすのか、それによってここで過ごす人々にどのような効果や体験を提供できるのか、という街や地区単位のグロス視点を意識しつつ、関東・関西問わず日本中で展開している20社ほどのブランド様に直接お声掛けして、当地区の魅力を必死にお伝えした結果、ご縁があってとあるブランド様の開業が決定いたしました。
- 宗平
高層棟は2024年11月に竣工を迎え、3階レベルでは駅からC地区に直結するペデストリアンデッキも開通しました。リーシング活動を経て「WTC annex」にご入居を決めていただいたテナント様にも順次ご入居いただき、長い間フェンスで覆われ重機や業者しか立ち入れなかった当地区に多くのワーカーが行き交うようになりました。また、2025年3月には「WORLD TOWER RESIDENCE」が購入者に引き渡され、当地区はたくさんの人が生活を営む暮らしの場ともなりました。2027年5月の全体竣工までまだまだ超えるべきハードルはありますが、文化芸術ホールを含む中層棟が竣工したとき、このC地区がどんな新しい景色を見せてくれるのか、今からとても楽しみです。

運営
プロジェクトを振り返って・
今後に向けて
- 吉田
C地区は、防災性に優れ、駅からアクセスしやすい住環境の良いエリアに生まれ変わりました。文化芸術ホールも完成すれば、更にこのエリアに人を呼び込むことができ、ビジネス面でも新たな価値の創出が期待できます。当社が主導したこのプロジェクトは地権者の皆さまから多大なるご協力を賜りながら、他のディベロッパーと手を取り合って、浜松町の新しい未来、新しい可能性を提示するような開発になったのではないかと思います。これからも、今回の経験を活かして「そこに暮らす、働く、過ごす人々の日常」を大切にする開発をしていきたいです。
- 小川
信頼は積み上げるのは大変ですが、崩れ去るのは一瞬です。十年以上も続いてきたこのプロジェクトで築いた地域との関係性を維持するため、そしてより強固にするために、C地区の全体竣工までは残り数年ですが、細かな業務にも手を抜かずに向き合っています。また、建物は作って終わりではなく、どう活用していくかが重要です。開発フェーズから運用フェーズにスムーズに移行できるよう、各所と連携しながらにぎわいのあるエリア形成を目指していきます。ゆくゆくは浜松町エリアが、新宿とか渋谷に負けない「日本を代表するようなまち」になるといいな、今後もそんなまちづくりをしたいなと思っています。
- 宗平
当社は1964年の創業以来、半世紀以上にわたり浜松町の地と共に歩み、関係性を育んできた歴史があります。私はC地区プロジェクトが開始した2011年から十年以上このプロジェクトに携わってきましたが、地域の方々に丁寧に接することと、この地域の発展のために行動することの二点は軸として継続してきた自負があります。先人たちが残してきた地域とのつながりを絶やさず、歴史をつないでいけたのであれば嬉しいです。大好きな浜松町が、すべての方に末永く愛されるまちになってくれることを願っています。

